初めての相続手続き

なにをしていいのか……わからない

「初めてのことなので、なにをしていいか分かりません。」

誰もが「初めて」の場面では戸惑うものです。

私自身、相続業務に携わり始めた頃は、同じように感じていました。

書店に並ぶ相続関連の書籍を見ても、どれを選べばよいのか分からず、数冊購入して読んでも、具体的な手順まではなかなか掴めません。法律の解釈よりも、実際に「どう進めるか」の方法論が知りたいのに、それが書かれていないことが多いのです。

インターネット上の情報も同様で、検索して出てくるサイトの多くが分かりづらく感じるのは、ある意味「普通」なのかもしれません。

恥ずかしながら、私も実務を始めた当初に、あるサイトを参考にして遺産分割協議書を作成したことがありますが、今振り返ると、その内容はお世辞にも完成度が高いとは言えませんでした。後になって知ったのですが、そういった情報サイトの多くは、実務未経験の方が学習用に作成している場合もあるのです。

その後、実務経験を3年ほど積み、ようやく相談会やセミナーでの対応にも自信がついてきました。

とはいえ、振り返ってみると、当時の理解はまだまだ浅かったと痛感しています。現在でもなお、現場で日々学びを続けています。

相続手続きの「型」は同じでも、一人ひとりの事情は異なります。外見上は同じようなケースでも、微妙な違いを見逃さないことが重要です。その点は経験を通じて初めて身につく部分でもあります。

最初に取りかかること

実務家へ依頼する

ここで宣伝をするつもりはありませんが、最も効率的な方法は「実務家」に依頼することです。確かに費用はかかりますが、その分スムーズに進められます。

ポイントは、「実務家」に相談することです。いわゆる「士業」や「専門家」という肩書きよりも、実際に現場で手続きを行っている人かどうかが重要です。依頼先の選定に迷った場合は、「費用の概算」と「手続きの流れ」を具体的に質問してみてください。

その場で明確に答えてくれるようであれば、信頼性が高いといえるでしょう。逆に「相続は難しいので、ご依頼後に説明します」と言われる場合は、実務経験に乏しい可能性があります。訴訟ではない限り、相続は基本的に「手続き」であり、経験があれば、ある程度の説明は可能なはずです。

自分で対処する……ここからが本題です

自力で対応される場合は、次の2つに分けて考えると分かりやすくなります。

ひとつは「お金を払うこと（支出関係）」、もうひとつは「財産を受け取ること（承継関係）」です。

なお、借金の処理については別のFAQで解説していますので、ここでは借金がない前提で進めます。

「お金を払うこと」については、通常それほど急ぐ必要はありません。請求や名義変更についても、事情を説明すれば「知らなかった」で済む場合が多く、柔軟に対応してもらえるケースが一般的です。

「財産を受け取ること」については、市役所が関係する手続きと、それ以外（銀行・法務局など）に分けられます。

市役所での手続きは、担当職員に相談しながら進めれば、年金関係なども含め比較的スムーズです。経験豊富な職員が多く、丁寧に対応してくれますので、安心して任せられます。

一方、やや難易度が高く感じられるのが、不動産や金融機関に関する手続きです。

不動産の相続登記は法務局、預貯金の解約は各金融機関（銀行・証券会社等）が窓口になります。

近年では、三井住友銀行やみずほ銀行などの大手金融機関では、相続関連の相談は「事前予約制」となっていることも多いため、あらかじめ確認が必要です。

また、相続手続きの流れで銀行から「不動産の名義変更や金融資産の解約代行」を勧められることがあります。実際に利用する方もいますが、手数料が高額になることが多く、財産に応じて100万円近い費用が発生することもあります。さらに、手続き後には投資信託などの勧誘を受けるケースもあるため、慎重に検討する必要があります。

手続き自体は、基本的には以下の流れになります：必要な書類を取得し、申請書や添付書類を揃えて提出する——これだけです。

共通する添付書類は、「戸籍謄本一式」と「印鑑証明書（実印）」で、いずれも基本的に1セットで対応可能です。法務局でも銀行でも、返却希望を申し出れば原本を返してもらえます。

PRとなって恐縮ですが、当事務所では1回のご訪問で不動産の名義変更や預貯金の解約が完了します

「相続手続きのたびに、何度も銀行や専門家の事務所へ足を運ぶ必要がある」——こうした話を耳にしたことがあるかもしれません。

弊事務所では、「1回」ご来所いただくだけで十分です。お越しいただくのがご負担な場合でも、メールと電話のみで手続きを進めることが可能です（オンライン対応も柔軟に行っています）。もちろん、その場で費用も明確にご案内いたします。