国際結婚の質問と回答
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- 日本人が外国人と結婚した場合、日本人と外国人配偶者の血族と姻族関係が成立しますか?
- 結婚により戸籍に記載する外国人の氏名、中国人の氏名の表記について
- 日本人と結婚した外国人はその氏を日本人配偶者と同じに変更できますか?また、その記載は?
- 日本人女性が6ヶ月の待婚期間を経過した後、外国人と結婚できますか?
- 日本人が外国で婚姻した場合、戸籍上どのような手続きが必要ですか?
- 一夫多妻を認める国の男性との結婚?
- 日本在住の日本人と外国在留の外国人との結婚は可能でしょうか?
- 15歳の外国人女性と結婚できるでしょうか?
- 日本在住の外国人が日本人又は外国人と結婚する場合の手続き
- 知っておきたい国際結婚(成立要件、届出の審査、婚姻の効力などについて)
… 国際結婚 Answer …
1、日本人が外国人と結婚した場合、日本人と外国人配偶者の血族と姻族関係が成立しますか?
明らかに姻族関係は成立します。ただし、考え方として、外国人の配偶者の血族ですから、その血族の本国での法律がどうなっているかが、問題となります。
レアケースとは思いますが、このケースで問題となるのは扶養義務ではないでしょうか?扶養義務の範囲については扶養義務の準拠法に関する法律を参考にしてください。
2、結婚により戸籍に記載する外国人の氏名、中国人の氏名の表記について
日本人と外国人が結婚すると、日本人の戸籍の身分事項欄に婚姻事項が記載されます。
その婚姻事項に外国人の氏名が記載されますが、その場合は外国人の方の氏名をカタカナで、氏、名の順序で記載します。名が先ではありません。
記載においては氏と名の間に読点「、」を付けて区別しています。
一方、中国人の場合、それが日本で使われている漢字ならば、漢字で記載する事になります。また、漢字は漢和辞典に記載されているレベルまでOKです。
但し、中国本土で使用される簡略体文字の場合は、そのまま戸籍に記載する事はできません。
なお、簡略字体を日本で使われる漢字に引き直して届書に記載されている場合は、これを戸籍の記載に使用する事ができます。
3、日本人と結婚した外国人はその氏を日本人配偶者と同じに変更できますか?また、その記載は?
簡単そうで、ちょっと面倒な話です。
「外国人配偶者の氏変更の事実を認めるに足りる、本国の官辺が発行した証明書」を添付して、日本配偶者から外国人配偶者の氏変更の申し出を行うことになります。
この書面の入手に手間取るケースがあるようです。これがあれば、後は単純な手続きですから問題ありません。
記載としては、日本人配偶者の戸籍の身分事項に氏変更の記載を行います。
なお、婚姻事項中に記載される外国人配偶者の従前の氏の変更(訂正)は行う必要ありません。
4、日本人女性が6ヶ月の待婚期間を経過した後、外国人と結婚できますか?
待婚(再婚禁止)期間は当事者双方に関係する双方的要件とされており、その為、相手の国の待婚期間を経過していないと結婚できません。
例えばタイでは待婚期間が310日とされております。この場合、婚姻届出は受理されない事となります。
5、日本人が外国で婚姻した場合、戸籍上どのような手続きが必要ですか?
外国に在住する日本人が、その国の方式に従って婚姻し成立した場合、婚姻証書を作成して貰います。
また、日本人同士が外国で婚姻した場合も、あるいは日本人同士でなく、配偶者が第三国の外国人でも、婚姻証書を作ります。
その婚姻証書を、三か月以内に、外国にあっては在外公館、在外公館のない国では、日本の本籍地市区町村長あてに提出をすることが必要となります。
6、一夫多妻を認める国の男性との結婚?
たとえば日本人の女性は、一夫多妻婚を認めている国の男性と、その国の方式に従って婚姻すると、当然に第二夫人となります。この場合、日本での扱いはどうなるでしょうか?
この婚姻は、既に夫の本国法に従ってその身分関係が形成されているので、日本民法上、重婚は取消事由であっても、婚姻は無効でなく、婚姻が取り消されるまでは有効であるので、報告的婚姻届を受理して、戸籍にこの事を記載することになります。
(どういった戸籍の記載になるのか見た事はありませんが、ご存知の方、ご連絡ください!)
ちなみに、重婚を認めていない国の男性と日本人女性が、一夫多妻制を認めている国で婚姻しても、男性の本国法で婚姻は無効であり、日本人女性の場合も婚姻は無効となるので、報告的婚姻届けは受理されません。
7、日本在住の日本人と外国在留の外国人との結婚は可能でしょうか?
結婚できます。ただし、注意点があります。
ただし、婚姻の方式によっては、日本で有効な結婚であっても、外国人の本国では結婚が否定される場合もあります。
この辺りの注意が必要です。日本国内であれば、知っておきたい国際結婚の基礎で説明した通り、あまり、神経質になる必要はありません。
ところで、結婚が否定される場合とはどんなケースかといえば、絶対的本国法主義を採用する国(最近ではほとんどないようです。ギリシャがギリシャ正教会でなくてはダメといった時期もありますし、中国も認めなかった時期がありました。
今は大丈夫ですよ)の方との結婚という事になりますが、現実問題としては、まず気にしなくても大丈夫と思います。
8、15歳の外国人女性と結婚できるでしょうか?
結論からいえば、出来る可能性があります。
ちょっとビックリかもしれませんが、日本では男性は18歳以上、女性は16歳にならなければ結婚はできません。
貴方自身は18歳以上ならまず、婚姻は可能です。
問題は外国人の女性ですが、彼女の本国での法律で15歳で結婚できる事になっていれば、日本でも結婚が認められる事となります。
ただし、外国の国際私法で結婚の実質的な要件として、結婚する国の法律を適用する事になっていれば、つまり、その女性の国の法律で婚姻に際しては日本の法律を適用する事になっていれば、残念ながら、その女性とは結婚できません。
9、日本在住の外国人が日本人又は外国人と結婚する場合の手続き
基本的には結婚する当事者がその国の本国法が定める実質的要件と婚姻の形式的要件である婚姻の方法を備えている事が必要です。
具体的には日本在住の外国人はその国から婚姻の成立要件を備えていることの証明書を発給してもらうなどし、日本人の場合は戸籍謄本で(つまり独身という事ですね)証明します。
また、婚姻を有効に成立させるためには、簡単にいえば、市長村役場へ婚姻届をする事です。その際の上記の証明書を添付する事になります。
さらに、婚姻の方式は、日本の法律に従う方法の他に当事者の一方の外国の方式による事もできます。
そこで日本在住の外国人は、日本に駐在する本国の大使館又は領事館等へ本国の定めによる婚姻の方式でおこなう事も可能です。
また、本国法で宗教婚が有効な場合は日本にある教会、イスラム教会やギリシャ正教会などで宗教婚した場合も婚姻は成立します。
ただし、日本で結婚する場合において、一方が日本人の場合は常に日本の方式である事が要求されますのでご注意ください。
10、知っておきたい国際結婚(成立要件、届出の審査、婚姻の効力などについて)
国際結婚と言ってもキチンとした法律的が定義があるわけではありません。
視点を変えると「国籍の異なる者どうしの結婚」です。
結婚は個人と個人との結びつきであり、まさに部外者には関係のない話・・・・・・
けれど、現実として自分が結婚を決めた相手の国籍が違う・・・となれば、これから住む国は? 将来設計、子供の国籍はどうするか・・・更には宗教・・・配偶者へ宗教が強制される場合は?
いうまでもありませんが、自分の配偶者の国に住むとなれば、その国の法律に従う必要あり、文化的価値観の相違が結婚そのものへの認識の違いになる場合もあります。
また、日本で知り合った外国人が、たまたま不法在留している場合はどうするのか?
など、様々な問題があります。けれど、それを乗り越えてカップルになる方の愛情は本物といえるかもしれません。
ここでは国際結婚についての関係しそうな事案を説明します。
婚姻関係については、「姻の成立及び方式」「婚姻の効力」「夫婦財産制」「離婚」に分けて,それぞれ定められていますが、とりあえず
1 婚姻の成立は、各当事者につき,その本国法による。
2 婚姻の方式は,婚姻挙行地の法による。
3 前項の規定にかかわらず,当事者の一方の本国法に適合する方式は,有効とする。ただし,日本において婚姻が挙行された場合において,当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない。
・・・・具体的な話をしますと。
1) 実質的成立要件
婚姻はまず、各当事者の本国法によることとしています。
婚姻についての実質的成立要件には,婚姻適齢,未成年者の婚姻についての一定の者の同意、待婚機期間、近親婚の禁止、重婚の禁止などに関するものがあり、例えば,楯姻適齢についてはA国籍の当事者についてはA国の法律によりB国籍の当事者についてはB 国の法律によることとなります。
ところで、当事者の中に重国籍者や州により法律が異なる国の者がいたり無国籍者がいる場合等については、どの法律をもってその者の本国法とするのかが問題となります。
このような場合のため、法律では重国籍者の場合は,国籍国のうち常居所がある国の法律、もしそのような国がないときは当事者に最も密接に関係する国の法律をその者の本国法とするものとしています。
なお,日本人の場合は常に日本の法律を本国法としていることから、当該本人が日本人のときは、その者が他に国籍を有しているかどうか調査する必要はありません。
次に,アメリカ合衆国などのように州により法律が異なる国やマレーシアやインドのように宗教等その人により法律が異なる国がありますが、そのような国の出身者については、まず、その国の規則により当事者に適用すべき法律、そのような規則がないときは当事者に最も密接に関係する法律が本国法となります。
このようにして決定された国の法律を当事者の本国法として適用していくこととなるのです。
なお無国籍者の場合は、本国法がないので常居所地法を適用します。
一方、各国の法律の中には、宗教上の理由等で婚姻を制限するものがあり得ます。
また、わが国の立場から、到底容認することができない理由で婚姻を制限する立法もあり得ます。このような法律を適用した結果がわが国の公序に反するときは、その国の法律を適用すべきではないので
「外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない。」
と定めています。
これを国際私法上の公序といいますが、これが問題となるときは,法務局に受理照会をするのが適当です。
2) 形式的成立要件
次に,婚姻の形式的成立要件(方式)について説明します。
身分関係一般については、実質的成立要件の準拠法と行為地の法律のいずれかの法律により方式上有効であれば、これを有効としています。
・・・面倒なので結論を言えば、日本で婚姻する場合は、市役所や区役所への届出が必要となりますが、当事者の一方の本国法によることもできます。
そこで,日本にいる外国人は、市役所等への届出の方法以外に、その者の本国法による方式でも有効に婚姻することができます。
例えば、大使館や領事館に届け出ることや、台湾系中国人の場合は儀式を挙げることにより婚姻することができるのです。
また、在外の日本人同士が在外の日本大使館や領事館に届け出たり、さらには、在外の日本人が他の日本人又は外国人との婚姻の届書を直接本籍地の市区町村長に送付することによっても有効に婚姻をすることができます。
ただし、例外があり、配偶者の一方が日本人である場合において日本で婚姻するときは、婚姻挙行地法である日本の法律のみによることができ、外国人配偶者の本国法の方式によることは許されません。
したがって、日本人と台湾系中国人が日本で婚姻の儀式を行っても、また、日本人と外国人が外国人配偶者の本国の大使館に婚姻を届け出ても、有効な婚姻とはなりません。必ず市役所等への届出が必要なのです。
3) 届書の審査
ア 創設的届出の審査
国際結婚成立のための創設的届出があった場合の審査は、日本人配偶者については日本の法律に照らし、戸籍又は戸籍謄本に基づき行います。
外国人配偶者については、その本国法によりますが、具体的にその要件を具備しているかどうかの審査が大変ですから、婚姻要件具備証明書の添付を求めます。
本国でこのような証明書を発行しない場合は、これに代わるものが必要であり、アメリカ合衆国大使館領事部が発行する宣誓書などはその例です。
これらが得られない場合には、当事者の本国法の内容を証明するもの、要件具備証明書が得られない旨の申述書及び本国官憲の発行した身分証明書、出生証明書、身分登録簿の写し、身分事項に関する申述書や公証人の事実証明書など各種の証明書の提出を求めることとなりますが、これらの書類のいずれを求めるかは.本国の制度や事案ごとに異なります。
イ 報告的届出の審査
日本人が外国の方式で婚姻した場合は、その旨を戸籍に反映させるため、婚姻成立の日から3か月以内に婚姻証明書等を添付して届け出なければなりません。
このような報告的届出があった場合、まず審査すべきことは、当該証明書が真正のものかどうかです。
その国の婚姻の方式が広く知られており、証書の作成者,体裁,内容などから判断して,真正に成立したものと認められるもの(例えば,韓国人配偶者の戸籍に日本人配偶者と婚姻した旨が記載されています)
4) 婚姻の効力
日本の民法では、婚姻することにより氏の変更があり得ます。
戸籍の実務では氏名権という夫婦それぞれの個人に関する問題であるとして、それぞれの本国法としています。
そして、日本の法律上は、外国人と婚姻したことにより当然には氏の変更はないとし、氏を変更する旨の届出があった場合にのみ、その変更を認めています。